散歩中に丸々太った鴨を見て「鴨鍋鴨鍋」と唱えていたときふと思い出しました。
閉じ込めていた記憶の扉が開いた瞬間です。
そう、野生のニワトリを〆て鳥鍋にして食べたことを思い出したのです。
30年ほど前の出来事です。
バックグラウンドを簡単に説明しておきます。
小学生のころ、オヤジの海外赴任に帯同しオランダのアムステルダムに住んでいました。
住んでいるマンションのすぐ隣がアムステルパークという広大な公園(小さな動物園まである)でした。豊かな自然を有する美しい公園でニワトリが放し飼いにされており、ポップコーンをあげた記憶があります。
オヤジは、海外赴任するくらいなので、有能なビジネスマンだったと思われます。
子供の面倒見もよくて、釣りやゴルフによく連れて行ってもらっていました。
英語すら通じない現地の釣り船に乗船し北海に繰り出し、夏はアジ・鯖、冬は真鱈やカレイを釣りまくるなど行動的なオヤジでした。
私も日本人小学生釣り名人として「その界隈では」有名人で、船長さんや船員に可愛がってもらいました。
ここからが本題です。
「公園のニワトリを捕まえにいこう」
との発言があり、「黒いビニール袋」と「素振り用のゴルフクラブ」を持ってアムステルパークに行きました。
昆虫の捕獲が大好きなやんちゃな小学生だった当時の私はなんの疑問も抱かずついていくことにしました。おそらく魚釣りや魚をさばく行為も経験していたので命に対する大きな抵抗がなかったのだと振り返ります。
パークでポップコーンを撒き餌にして大きめの雄鶏(記憶では雄)を近寄せ、ゴルフクラブで二度ほど強打し黒いビニール袋にいれて持ち帰りました。
鮮明に覚えているのですが、持ち帰る途中に雄鶏が暴れだし真っ赤な顔をして親父がビニール袋を握りしめる(首絞め)ハプニングがあったことです。
気絶していただけで息を吹き返したのでしょう。なのでタイトルを絞殺としました。
家に戻り、首を落として血抜きをし羽毛をむしったことを覚えています。
鳥の水炊きにして食べました。
姉は残虐だと大泣きをして食卓にすら参加しませんでした。
「普段食べている鶏肉も誰かが殺しているのだから大きくは変わらない」というような話をしていた記憶があります。・・・まぁそうなのかもしれませんが。うーむ。
現在のオランダの法律「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」によると1年以下の懲役だそうです。当時はわかりませんが、自然保護が日本より進んでいる国なのでやっていい行為でないことは間違いありません。
※検索情報なので正確でない可能性があります
オランダも重犯罪以外は時効があるようなのでこの行為が犯罪であっても時効をむかえていることでしょう。
オヤジは、輸出入業務や幅広い方々との交流があったので、一定のモラルや法令意識は高かったはずです。諸々調べた上で、この捕獲を実行に移したのか、何を考えていたのかは全くわかりません。
生きていれば思い出話もできるのですが、早世してしまったことが残念です。
公にするべき話ではないと思いつつなかなかワイルドな父を偲んで書かせていただきました。
時代は違うので公序良俗を大切に生きていきたいと思います。
太った鴨を見ても捕まえるのはやめておきます。
お読みいただきありがとうございます。